第一章 「道徳体系としての武士道」

矢内原忠雄訳が一番、格調高いと思う。

・1900年(明治20年アメリカで発行された「武士道」の初版の表紙のタイトルは、BUSHIDO THE SOUL of JAPAN 「日本の魂」の訳はないので、不思議である。

・武士の掟・規律として生まれた「武士道」は、日本人の道徳としての道を照らし続ける光として、今も生きており、道徳体系をうち建てる「礎石」である。また、新渡戸稲造が「武士道」を書いた目的は、海外向けに、日本の道徳を、武士道を通して発信したということであり、必然的に英語で書かれたと理解した。

第二章以降で、三つの魂(宗教と戦争と名誉)との関連も含めて、武士道の源泉・特性と教訓を、詳しく学べることに期待したい。

 

◎フェア・プレーの精神は卑劣な行いを否定し潔さを肯定する、そこに愛があるのではないか。

BUSHIDO THE SOUL of JAPAN 「日本の魂」とタイトルにあるが、武士道は、男性中心であり、女性が入っていない。「日本」の魂とはいいがたい。

◎女性にも、掟や秩序の中があり、武士道の教えの中で生きていたと思う。

◎武士道に儒教の教えが入っている。

◎(補注)ラスキンの、戦争において涵養せられ平和によって浪費せられたこと~~

 ・命をかけて闘う、戦う、例えば信仰を守るために命を捨てる生き方は、武士道に通じるのではないか。

 ・戦争はいかなる場合でも反対の立場に立ちたいが、歴史上、人間は戦争を幾度となく繰り返し、そこから何度も復興してきた歴史がある。愚かさから学ぶということなのか。

 ・戦争を痛みや病と置き換えて読むのもあり

 ・戦争の悪しき面でも徳が高められ、魂の浄化があるということか。

・平和な日本にいると、平和ボケしているともいえるので、戦争の実体がわからない。

◎武士と言うと、時代劇のイメージが強く、「武士道」は今現在とかけ離れたものと言える。

◎今は、道徳教育が行われているとは言い難い状況だが、「武士道」を学ぶことによって、道徳教育の糸口がつかめるのではないか。「武士道」は、現代でも十分通用する道徳体系である。

◎新渡戸は、この本を37歳で執筆し、欧米ではベストセラーにもなり、まさに「われ太平洋の架け橋とならん」を実践したと言える。